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2006年10月 アーカイブ

2006年10月03日

ことの次第(前)

ねじ

ねじ
「ついこないだのこと。にんげんやまがねじのかおをしげしげながめて、 『ねじは毎日の目標を脱おでぶにするといいと思うの』などとくどくどしつこくかたるので、きのいいねじもすっかりいやけがさしてしてしまった。トリがふとるのはもちろんトリがわるいのではなくて、しょあくのこんげんはかうヒトなのであるというだいげんそくを、このヒトはすっかりわすれてしまったようなのだ。

ねじはだいぶうんざりしたので、つい、つぶらなめでかわいいこえで、 
『ではヒトがいきるもくひょうはなんなの?』
とたずねてみたら、これがじつにヒトのよわくていたいところをついてしまったらしい。

ヒトはくるりとせなかをむけて、よろよろへやのすみににげていってしゃがみこみ、しばらくあらいいきをはいていた。それからちょっとしずかになったかとおもうと、めをこすりながらひくいひくいこえで、
 『さーばくーにシがおちてえ』
などとうたいだしたのだ」

つづく

2006年10月10日

ことの次第(後)

ことの次第(前)から続く>
ねじとの対話の最中、人間山は「アラビアの歌」を口ずさんで逃避をはかり、こころのなぐさめを得ようとするのだった。


ねじ

ねじ
「トリにはトリのかなしみがあるように、ヒトにはヒトのくるしみもあるのだろう。でも、ねじはかさねてたずねずにはいられなかったのだ。
『いまのはなしとあらびあとどういうかんけいがあるの?』

にんげんやまのかたがびくりとおおきくうごいたかとおもうと、ヒトはこちらにむきなおってほえた。
『ヒトとあらびあをバカにするなあっ』

いや、ねじにはそもそも『ばかにする』かいろはついてないし、ヒトにはともかくあらびあにはなんのかんそうもない。にんげんやまよ。こういうときはヒトもちょっとはづくろいでもしてみるといいぞよ。ねじがねんいりにはづくろいのおてほんをみせてあげていると、しばらくだまってみていたヒトはゆっくりくちをひらいた。

『わかりました。ヒトは今人生の目標を見つけましたので、トリは痩せなさい。いま痩せなさい。すぐ痩せなさい』

......

それからなぜかあらびあごのがっこうにかよいはじめたヒトは、それなりにげんきにやっているようだ。かえってくるたびあたらしいことばをひろうして、それにつきあうトリのよいさじに「では今日から君を○○(そのひのあたらしいことば)と呼ぶことにしよう!」などともちかけて、へいこうさせている。

ねじはいまだにどうしたものかとおもっているのだが、ヒトのやるきをあえてそぐことはないだろうので、ごしゅーぎがわりに3gばかりだいえっとしてみた」

BGM:「アラビアの歌」

2006年10月14日

メエのそのう炎1

メエ

10日の深夜のこと。突然ぱらぱら、ぱらっぱらっ、という音がケージから聞こえてきた。まるでボレー粉をくわえて捨てているときのような音だ。

寝ているはずのどのトリが悪さをしているのだろうと見に行くと、4つの影はみんなそれぞれのブランコの上にある。おかしな話だと思ってながめていたら、メエがひとり大きく左右に首を振ったかと思うと、まき散らすように餌を吐き出した。

一度、二度、三度、四度、これは尋常ではない。

あわてて指を差し出すとメエはいつもどおり乗ってきた。明るいところに連れて行って観察していると、十何回か数えたところで嘔吐はやんだ。吐いたものはほとんどねばりがない餌のつぶつぶで、ふやかしたての粟玉みたいに見える。これがケージの敷き紙に落ちてぱらぱら音を立てていたのだ。

メエは気持ちふくらみ気味で眠そうな目をしている。吐き戻しは納まったようなので、そのまま寝かせることにした。ねじさじもメエギイも今までありがたいところに消化器系の不調はほとんどなかったのだが、これは話に聞くそのう炎の症状に似ているようだ。そう言えば最近メエは急に体重が増えて、あのちんちくりんのねじをしのぐほどだったと思い出す。

ヒトのトリ管理が問題なのだ。たぶん生活習慣病なのだ。いろいろ迷ったが、翌日半休をとることに決めて、ヒトも寝ることにする。

続く

2006年10月17日

メエのそのう炎2

メエのそのう炎1から続く>


メエ

明けて11日。嘔吐を繰り返していないかはらはらしながらケージを見に行くが、その様子はなくてほっとする。メエは気持ちふくらみ気味だがヒトへの反応はいい。「おねえちゃん元気そうにしてて健気だわ」と胸をつまらせながらしばし観察。少し眠そうだ。ヒーターを入れる。体重は45g。以前横並びだったギイは今朝は38gだ。

さじを診てもらっている病院は午後からの診療なので、今回は初めての鳥の病院へ。職場にえいやっと電話して、診療開始時間を見計らって家を出た。自宅からは比較的近く、交通の便もよい。待合室は明るく、平日の午前中で空いていてすぐ診察室に通された。

そのう液検査、便検査をしてもらうと、どちらも常駐菌がやや多めに出ているとのこと。やはりそのう炎の軽いのなのかなあとうなずいて聞いていると、「治療の経過を見るために、明日と明後日来てもらうことになりますが大丈夫ですか?」と尋ねられて混乱する。これは重病そうではないか。今週の予定が瞬間頭の中を駆け巡るが、しょせんヒトの都合だ。えいや、っだ。

「何とか都合します」と答えると、「では注射をしますね」と明るく告げられて驚く。何だか順番がおかしい。抗生剤だろうと推測はつくけれどそもそも注射の中身の説明がない。このまま何か処置されたくない。

動揺をそのまま素直に態度に出して「注射はおおごとだと思っていた。飼い主の心構えができていない。今の状態で注射は必要なのか」と尋ねると先生はそんなに身体に負担はないと言い、こちらの表情を見て「即効性がなくていいなら投薬でも構いません」と言い足す。重ねて質問すると、注射の場合は2日連続で経過を見たいが、投薬なら5日飲ませて吐かなければ再来院の必要はないとのこと。これはどういうことだろう。最近むつかしい情報処理がとみに苦手になっているヒトはさらにたいそう混乱したが、やはり注射はやめて投薬にしてもらう。

今回の症状は肥満(=生活習慣のまずさ)に根っこがあるような気がしていたのでそれについて聞いてみると、「ちょっとぽっちゃりさんだからその可能性はある。食餌内容は問題ないようだ」と言われて拍子抜けした(45gは「ちょっと」どころではないと思うのだ)。その他の印象からも、ここは対症的な対応メインの病院なのだなあと強く感じた。

薬は抗生剤とビタミン剤の2種。帰宅して飲ませてみると、メエは保定をいやがってヒトの手をがぶがぶかんだ。不憫さ倍増である。

続く

ちょっと待っててね

ねじさじ

病気関係の話題だけに、こちらやmixiでの更新が滞っていたためご心配をおかけしてしまったようです。まったくヒトの都合による停滞で、何か変事があったわけではありませんのでご安心ください。

メエさんの近況はというと、日曜にさじの行ってる病院で診てもらい、あちらでも先生をがぶがぶやってくれやがりました(すみません、先の病院でも先生と助手の方を...)。現状ではそのう炎だとは言えないようですが、ほかの問題もあるので経過は見なければいけません。吐いたのは先日の1回だけです。日曜の話については追って書きますので、いましばらくお待ちくださいませ。

2006年10月23日

メエのそのう炎3

メエのそのう炎2から続く>


メエ
梨の味見をするメエさん。まあまあ、らしい。
=====

11日から15日にかけて、先の病院で出された薬2種(抗生剤+ビタミン剤)を朝晩メエに飲ませた。さじへの投薬経験から、人間山は自分のトリの扱いは手馴れたものだと思い込んでいたけれど、実はそれは大間違いだったのでしたと思い知らされる毎日。保定も投薬も嫌いなメエはヒトにつかまれると暴れるだけ暴れ、それでも自由になれないと知るとヒトの手の甲や指をしみじみとながくながーく咬みしめるのだった(ヒトの指の間から身体を引き出すためのとっかかりを見つけようとくちばしで探る、さじの咬み方とは雲泥の差だ)。メエがかわいそうで、でも咬まれる自分も何だかかわいそうで、投薬しながらヒトはほろりとする。

ヒトの手から自由になると、もうメエは攻撃してこない。相変わらずヒトの顔が好きで、投薬直後でも寄り目で近づいていくと「ぴよ」と鳴く。つかもうとしなければ指を襲ったりもしないので、メエはいろいろ分かっててヒトを咬んでいるのだと思う。実に筋の通った緑びよだ、とヒトはまたもやほろりとくる。

最初の1回以降、嘔吐は見られなかった。14日のこと。とろりとした抗生剤とヒトの不器用さのせいであごのあたりがべたついてきたメエは、しきりにそれを気にしていた。ヒトはそれをはらはらしながら見守っていたが、思い切ってぬらした脱脂綿で顔をふいてやると(もちろんヒトのこころメエ知らず、散々咬まれた)、その甲斐あってメエは実にふわふわでかわいいトリに戻ったのだった。そのとき気づいたのだが、背中の羽根の合わせ目や風切りの内側の緑の羽毛の先端が、何となく汚れているように見える。具合が悪いと羽づくろいもおろそかになるのだろうか、たった数日でそんなに汚れるものだろうか、と小ぎれいなギイと見比べて、ますますメエが不憫になった。翌日15日は投薬5日目で日曜だった。やっぱりさじの主治医の先生に診てもらおうと決心する。

まだ続く

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