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2007年03月 アーカイブ

2007年03月05日

オネーチャンの秘密

メエ

トリ部屋の方からキイキイという妙な音がずっと聞こえている。金属が小さくきしむような、トリが小声で何か言っているような、どちらにしてもふだんあまり聞きなれない音だ。おかしなものをかじっているのではないだろうかとだんだん心配になってつま先立ちして様子を見に行くと、ぱたりと音はやんで、トリたちはつぶらな目をしてヒトの顔を見あげているだけだ。位置関係からしてメエが音の犯人だろうとあたりをつけただけで、ひとまずヒトは退場する。

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先月後半からメエの毛なめが再発してしまっていた。前回ほどは重くないのだけれど、体重がまた増加傾向にあったこと、季節の変わり目で発情気味であることに加え、良かれと思ってのぶらぶら設置があだになったのかも知れないと思う。でも本当にぶらぶらごときで参ってしまったならその繊細さにどう向きあえばよいのか、ヒトはメエとのマンツーバード時間を増やしてみただけでまだ何の対策もとれていなかった。

メエはあいかわらず横暴で、ヒトがからむと傍目から見ても理不尽なほどギイをしかりつけて自分の我を通そうとする。怒られたギイは最近すぐぶらぶらで憂さを晴らすようになっていたので、ギイのためにはぶらぶらを残してやりたい。そうするとメエギイ別居が最善なのかも知れないが、ああ、ああ、ぐるぐるぐる。
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ヒトがケージの近くに寄っていくとその度に音は止まってしまう(あちらからは死角のはずなのに何と敏感なトリなのだ!)。そして、ヒトが諦めて部屋に戻って編み棒をとりあげたりトイレに入ったりすると、見透かしたようにまたキイキイと始まる。10回くらいこれを繰り返すとさすがにヒトは腹が立ったので、手ぬぐいで口と鼻を覆ってからカメラの電源を入れて張り込みを始めた。

ブランコが揺れてケージにあたる音。粒餌の殻をむく音。誰かが足をあげて顔のわきをかいている気配(くちばしを開けておえーって顔をしてるんだろうな)。ぴよと鳴く声。もう一声。そしてついにキイキイが再開した。ヒトは腕を伸ばしてシャッターを押しながら、鼻の下を伸ばすような気持ちでそうっと伸び上がってケージの中を見る。

メエギイ

楽しそうにぶらぶらと遊んでいたギイがこちらを向いた。メエはその向こうでボレー粉入れに陣取って、止まり木の下から窮屈そうに頭を出しながら綿ロープのおもちゃを熱心に食んでいた。その顔先にくっつきそうな勢いでぶらぶらが揺れていたけれど、それはあまり気にならないらしい。キイキイの音の元になるようなものはどうしても見当たらないので、結局メエが小さな声を出していただけのようだ。

ヒトの顔を見るや、メエはケージの側面に飛びついてきた。「ヒトには秘密なの?」と尋ねながらほんの少し扉を開けると、隙間からむりむりと頭と身体をねじり出して、ヒトの指に乗ってくる。遅れをとったギイがあわてて続く。ぶらぶらはも少しそのままにしておこうと思う。

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